社会人になって初めての上司は、「仕事と思うな、人生と思え」がポリシーでした。
出張では、名所や名物を楽しみ、新たに出会う人にはたくさんのインタビューをして、クレーム対応でさえ哲学や文学に関連づけてまとめるような人でした。
今、障害者施設における終末期支援のリポートを読んでいます。利用者の看取りのため、当初職員の待機場所を作っていたのが、ほどなくスタッフが皆、利用者のベッド脇で過ごすようになった・・・というくだりで、冒頭の言葉を思い出しました。ああ、これはもう「仕事ではないな」という感慨におそわれています。
リポートには、たびたび「職員の覚悟」という言葉が登場します。「覚悟」という言葉はとても硬くて、砕けたらもう収拾もつかないイメージが付きまといます。もっとしなやかで柔らかい言葉はないでしょうか?
くだんの上司はすでに彼岸の人ではありますが、自分の訃報さえ周囲に1年間は伏せるようにご家族に言い残していました。その事実を知った時、あちらから「どう? びっくりした?」という声が聞こえたような気がしました。
※参考※
厚木精華園「終末期支援プロジェクトの取組み」報告書 2018年3月