父島に戻ってきたE氏と私、水曜日~金曜日は父島にある小笠原村高齢者在宅サービスセンターでの調査です。対象事業は、地域密着型通所介護と訪問介護、居宅介護支援の3事業。手分けして調査を進めました。
小笠原諸島の父島と母島の第三者評価は二度目となりますが、職員さん達に話しを伺えば伺うほど、東京から1,000㎞の航路を辿って着くこの南の島の特殊な状況を知ることとなりました。
改めて小笠原村の医療・福祉状況を簡単に整理してみましょう。
父島唯一の医療機関が小笠原村診療所(母島には「母島診療所」があります)。
今回、特に印象深かったのは、父島、母島での出産事情、以下は、「小笠原村診療所のホームページ」からの抜粋。
「産科医師の確保、分娩体制の問題等により、現在、村内では、出産ができない状況となっています。 また、妊婦さんが内地で出産するため上京するに当たっては、定期船の乗船制限により、妊娠8ヵ月位の状態で上京せざるを得ず、内地での長期滞在を余儀なくされ」
ているとのこと。知らなかった、なんと小笠原村では出産することができないのです。
また、老人ホームは小笠原村診療所と同じ建物内に、有料老人ホーム「太陽の郷」があります。この「太陽の郷」は平成23年3月1日に開設された小笠原村で初めての高齢者の介護入所施設。生活支援等のサービスも受けることができ、医療と介護の連携によって利用者が安心して生活できる環境が整えられています。今回の調査でお話しを聞いたお年寄りも何人かはこのホームからデイサービスにいらっしゃっていました。
調査の進行につれて明らかになる小笠原の医療と福祉の現状。報道等によると近年では離島の暮らしに憧れ、小笠原などの南海の島々に移住を希望する若者も多いと聞きます。実際に小笠原村は高齢化率が全国で最も低く、子どもや若年層が多いため明るくて活気があります。数日の滞在でしたが、E氏も私もこの小笠原の雰囲気が大変気に入りました。一方では、大病を患うと島で暮らしていくのは難しいという面もあります。
「老人ホームはやっとできたけど、この父島では人生の最初(出産)と最後を迎えることは難しいんだよ」という地元の方の言葉が胸に迫ります。
某公共放送の永遠の5歳に叱られるような生き方をしてきた私は離島で生きる厳しさに改めて考えさせられるのでありました。
(写真は父島にて撮影)