守秘義務と「秘密の花園」

 イギリスの作家バーネット夫人といえば「小公女」や「小公子」が有名ですが、「秘密の花園」もすてきな作品です。私はいい大人になっても原作はもちろん、映像化や舞台化されるとなぜか思考停止になって食らいついてしまう大好きな作品で、岩波ブックレットにある「『秘密の花園』ノート」も同じ勢いで読んでみたものです。

 この中で「秘密」について次のように語られています。
「秘密、ということは、排他的であるということではなく、デリカシーを要する命の法則が、十全に働くための「術」を張り巡らすのに必要なこと」
「「術」にかかるとは、皆で一つの目的のため、一つのトーンの中で働くことなのだ」※

 私はこれを、人を支援するために技術をもったスタッフが動き、技術を持たない人の不用意な介入から守る・・それが守秘義務とも言えるのではなか?と、ただ単に「話さない」という単純な義務ではないように思うのでした。
 
 守っているのは秘密ではなく、人そのものだと思いながらその義務を果たしていきましょう。

※引用  岩波書店 岩波ブックレット№773 『秘密の花園』ノート  梨木香歩・著  2010年1月8日発行